今回は、焙煎について説明します。
昔コーヒー豆は、焙煎してからではなく、生豆をそのまま煮出して飲まれていたと言われています。焙煎して飲まれ始めたのは15世紀くらいからだそうで、徐々に嗜好飲料として世界中へと広まりました。
19世紀頃から焙煎工場などが出来るようになり、職業化が進みましたが、焙煎の技術は広まっておらず、大量生産までは至っていませんでした。
20世紀ごろから焙煎技術も発達し、機械でムラなく短時間で焙煎出来るようになり、90年代後半頃には私たちにも身近かな存在となり、コーヒーを楽しむことができるようになりました。
焙煎度合いって?
焙煎された豆は、薄い茶色から、黒々としたものまでさまざまで、生豆に熱を加える加熱の程度を表したもの(焙煎した豆の色)が「焙煎度合」と呼ばれます。焙煎度合は豆の味を知るためのおおまかな目安です。日本での一般的な焙煎度合は、浅煎りから「ライト」「シナモン」「ミディアム」「ハイ」「ハイシティ」「フルシティ」「フレンチ」「イタリアン」と8種類あります。
あくまでも目安で、作り手の主観がありますので、これが絶対という指標はありません。
基本的に浅煎りにすると酸味がきわだち、苦味はほとんどありません。逆に、深煎りにすると酸味は弱くなり、苦味が強くなります。豆の産地や種類によって個性がありますので、例外的に浅煎りでも酸味がほとんど感じられないもの、深煎りでも酸味の残っているものもあります。
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焙煎の工程は複雑
コーヒーの生豆に含まれる、「ショ糖類」・「アミノ酸」・「クロロゲン酸類」は、コーヒーを色づけさせる元で、ショ糖とアミノ酸に熱を加えると、褐色物質のメラノイジンが生成されます。これをメイラード反応といいます。
もちろん産地や豆の種類によって成分比が変わります。また、栽培条件や精選方法、収穫後の時間の経過、豆に含まれる水分量、豆自体の大きさなどによっても変わりますので、焙煎の工程は複雑とも言えます。
焙煎した豆に出てくる油分
コーヒーを焙煎した時に豆から油が出てきますが、これは豆に含まれていた脂質です。コーヒー豆は焙煎すると二酸化炭素が発生します。この二酸化炭素が、豆の中に入っていた脂質を押し出すことで、油が出てきます。二酸化炭素は豆に加熱すればするほど出てくるので、深煎りにした豆によく見られます。
コーヒーの油分が酸化して豆の劣化が早くなると思われがちですが、コーヒーは二酸化炭素に覆われていて、尚且、豆自体に抗酸化成分が多く含まれているので、酸化や劣化の速度はとても遅くなります。
しかし、焙煎したコーヒーは時間が経つにつれ「変化」はしていきます。先ほど、コーヒーは二酸化炭素を出すと書きましたが、この二酸化炭素とともに、香りの成分も出ています。
焙煎したての豆でコーヒーを淹れると、粉がよく膨らみ、香りが良いのはそのためで、時間の経過とともに香りも減少し、質も変わります。質が変わると風味も変化します。焙煎したての豆、しばらくおいて熟成された豆、比べると香りも風味も違いますが、劣化したか、美味しく感じられなくなってきたかどうかを決めるのは飲む人個人で違います。
コーヒーは、焙煎工程や度合、豆の品質や鮮度によって捉え方が変わるので、とても面白く奥の深い嗜好飲料です。